シルバニアサイズのドールハウス設計|寸法と簡易設計図の描き方
シルバニア向けのドールハウスを作り始めると、定番の1/12図面ではどこか空間が大きく見えて、家具の高さまでちぐはぐになりがちです。
100円ショップseriaのミニチュア家具はシルバニアと合う?の検証でも語られている通り、基準は約1/19〜1/20を目安にしつつ、家具高は低めに補正すると整いやすく、ただしこれは公式明言ではない点も押さえておきたいところです。
本記事では、1/12との違いを整理しながら、mm単位の平面図と正面図を手書きで描く手順を、初制作でも追える形でほどいていきます。
筆者自身、子どもとテーブルで一緒に作る前提のときは、まず1部屋・A4相当サイズに絞って設計から逆算しますが、この方法だと散らかりにくく、片付けまで含めて最後まで形にしやすいのです。
難易度は初級〜中級で、1部屋・開口1〜2箇所・装飾を控えめにすれば作業時間は約2〜3時間です。
材料費は実例に幅があり、100均素材の事例では約800円とする報告が多い一方で、素材や装飾の選び方で増減します(筆者の見積りとしての目安:約800円〜1,200円)。
板材を使う場合は素材・カット・仕上げによって費用はさらに変動しますので、目安としては1,500円前後〜とお考えください。
小さな窓から光が入る一室を、自分の手で無理なく立ち上げたい方へ向けて、安全なカッター作業の基本も含めて実践的に案内します。
シルバニアサイズのドールハウスとは?1/12との違い
シルバニアは約1/20
ドールハウスの世界では、まず基準として1/12スケールがよく使われます。
つくるんですのドールハウス解説でも、一般的な規格として1/12が紹介されており、家具や建具の作例、型紙、既製パーツもこのサイズに集まりやすい流れがあります。
いっぽうで『シルバニアファミリー』は、ファンの検証では約1/20前後として扱われることが多く、実際に家具や部屋寸法を合わせると1/19〜1/20あたりが収まりのよい目安になります。
ここで押さえておきたいのは、『シルバニアファミリー』の公式サイトに縮尺の明記がないことです。
つまり、1/20は公式設定というより、作り手のあいだで蓄積されてきた実感に近い基準です。
シルバニア向けの家具検証をまとめたシルバニアスケールの難しさや『100円ショップseriaのミニチュア家具はシルバニアと合う?』を見ると、1/12はひと回り大きく、1/19〜1/20が自然に見えるという結論が揃っています。
筆者も1/12を基準に背景を組んだとき、床面積より先に「空気の量」が多すぎると感じました。
壁は立派なのに、人形が部屋の主役にならず、背景セットの中にぽつんと置かれているように見えるのです。
シルバニア向けでは、縮尺そのものだけでなく、人形の存在感が画面の中でちゃんと立つかまで含めて寸法を決めると、世界観がぐっとまとまります。

シルバニアファミリー公式サイト
sylvanianfamilies.com1/12規格と比べてどこが大きく見える?
1/12をシルバニアに流用したとき、いちばん違和感が出やすいのは縦方向です。
床から窓までの高さ、テーブル天板の位置、椅子の座面、扉の取っ手位置などが、目で見た瞬間に「少し高い」と感じられます。
幅や奥行きは小物の置き方でごまかせても、高さのズレは人形を座らせたり立たせたりした瞬間に目立ちます。
たとえば1/12の作例では、窓枠を縦9cm×横7cm、床から7cmに設定する例があります。
これをそのまま撮影背景に使うと、子どものウサギ人形が窓の前で小さく沈み込み、窓に埋もれるような印象になりました。
筆者も最初は「窓があるだけで部屋らしく見えるだろう」と考えていたのですが、実際に写真にすると、窓ばかりが主張してしまったのです。
そこで窓を5×4cmほどまで下げてみたところ、途端に人形の顔まわりへ視線が集まり、小さな部屋に本物の光が差しているようなバランスになりました。
比較すると、1/12は標準規格として資料の豊富さが魅力です。
ただ、シルバニアを主役にするなら、1/19〜1/20目安のほうが見た目の説得力が出ます。
100均ベースを使う方法も、この“少し小さめ”の感覚と相性がよく、1室完結の背景づくりに向いています。
| 項目 | 1/12規格ドールハウス | シルバニア向け1/19〜1/20目安 | 100均ベース活用 |
|---|---|---|---|
| サイズ感 | 標準規格で資料が多い | シルバニアに合わせやすい | ベース寸法に制約あり |
| シルバニア適合 | やや大きめになりやすい | 有力 | 部屋単位なら相性が良い |
| 設計のしやすさ | 参考例が多い | 補正が必要 | 既存寸法を活かせる |
| 家具の見え方 | 縦方向が高く見えやすい | 低め家具が合いやすい | 小空間向け |
| コスト | 素材次第 | 素材次第 | 低コストで始められる |
| 収納性 | 大きくなりやすい | 設計次第 | 高い |
単純縮小が合わない理由と“低め補正”
シルバニア向けの設計で悩ましいのは、1/20に縮めれば自動的にぴったりにはならないことです。
人形は約2.5頭身といわれるデフォルメ体型で、頭が大きく、手足が短めです。
そのため、実物家具をただ20分の1にしただけでは、見た目には合っていても、座らせた瞬間にテーブルが高く、椅子に対して足がぶらついて見えることがあります。
このズレを埋めるのが、家具高の“低め補正”です。
あくまで筆者の経験に基づく目安として、シルバニア向けに室内を設計するときはテーブル天板を40〜45mm、椅子の座面を18〜22mmあたりに置くと、手にカップを持たせた場面や食卓の写真での収まりが良くなることが多いです。
これらの数値はデータシートに基づく公式値ではなく、見た目のバランスを優先した実作上の「目安」であることを明記しておきます。
TIP
シルバニア向けは「縮尺を合わせる」より「人形の目線と手の位置を合わせる」と考えると、家具の高さ決めで迷いにくくなります。
この考え方は、既製のミニチュア家具を選ぶときにも役立ちます。
1/12表記の家具でも、背が低い棚や小ぶりなベンチなら背景用としては成立しますが、テーブルや椅子は高さの差がそのまま違和感になります。
逆に、部屋の壁面や床柄は少し大きめでも成立する場面があり、家具ほど厳密に見られません。
つまり、シルバニア向けの設計では、まず人形が触れる高さから整えるのが近道です。
1/12→1/20の換算早見
1/12の作例をシルバニア向けへ読み替えるときは、寸法を1/20相当に置き直すと全体像をつかみやすくなります。
たとえば、1/12の窓枠が縦9cm×横7cmなら、1/20換算では約5.4×4.2cmです。
床から7cmの位置にある窓下端は、1/20では約4.2cm。
この数値に置き換えると、シルバニアの子ども人形や小柄な家具との釣り合いが一気に見えてきます。
実際の設計では、この換算値をそのまま使うより、窓下端を40〜45mmほどに寄せたほうが馴染みます。
窓の位置が少し低いだけで、人形の耳や顔まわりに背景の抜けができ、写真の中に物語が生まれます。
1/12の図面は情報量が多く、寸法の出発点として優秀ですが、シルバニアに合わせる段階では「縮小して終わり」ではなく、「低めに整える」ひと手間が必要になるわけです。
この換算感覚を持っておくと、セリアのドールハウスベースでシルバニア団地を作るで使われているようなW215mm×H215mmの既製ベースも扱いやすくなります。
1室を背景として切り取るなら、広さを詰めすぎず、かといって空間を持て余さない寸法に落とし込みやすく、収納まで含めて美しくまとまります。
設計前に決める3つの寸法基準
外寸の決め方
設計図を描く前に、最初に固定したいのが外寸です。
ここでいう外寸は、完成した箱もの全体の幅、奥行、高さ(それぞれW、D、H)、つまりW×D×Hの寸法のことです。
飾ったときの見え方だけでなく、どこに置くか、どこへしまうかまで含めて決めておくと、途中でサイズがふくらみにくくなります。
筆者は初回ほど、世界観より先に“収納しやすさ”から逆算します。
A4ボックスに立てて片付ける前提で外寸を先に固定すると、壁をもう少し広げたい、窓を増やしたい、と途中で気持ちが揺れても基準がぶれないんですよね。
実際、フタ込み1,100円の収納ボックスを前提に考えると、A4相当の感覚に収まるサイズがひとつの軸になります。
セリアのドールハウスベースでシルバニア団地を作るでも、W215mm×H215mmのベース寸法が扱いやすい目安として見えてきます。
1部屋だけを作るなら、筆者の設計例として外寸をW220×D140×H230mm前後で考えると、シルバニア向けの家具配置と収納性の両立がしやすくなります。
幅220mmあれば壁際に家具を寄せても中央に余白が残り、奥行140mmで部屋らしい厚みを確保できます。
あくまで本稿で示す「設計例/目安」として読んでください。
この段階では、外寸を決める理由をひとつに絞ると迷いません。
たとえば「棚に飾る」「収納箱に入れる」「撮影背景として立てかける」のどれを優先するかです。
DIY設計の基本が身に付く!手書きで図面を描いてみよう(https://www.lulucad.jp/2019/09/11/howto_draw/でも、先に全体サイズを可視化しておくと材料の無駄や寸法ミスを減らせる考え方が紹介されています。
ドールハウスでも同じで、外寸は“見た目”より“制約条件”から先に決めたほうが、図面が安定します)。
【撮影セット】セリアのドールハウスベースでシルバニア団地を作る【100均】|KanaFett
note.com室内有効寸法の出し方
以下で示す寸法は筆者の設計例(あくまで目安)です。
外寸が決まったら、壁・床・天井の板厚分を差し引いて「室内有効寸法」(人形や家具が実際に入る使える内側)を算出します。
単純計算の内寸の目安はW210×D130×H220mm(筆者の設計例)ですが、見切り材や補強材を入れると変わるため、必ず仮組みや実寸での確認を行ってください。
人形の実機を仮置きすると、図面だけでは見えなかった干渉が把握しやすくなります。
ドールハウスをシルバニアサイズで作る!100均材料で簡単のような100均ベースの作例でも、1室を成立させる鍵は外寸そのものより、家具前の空きにあります。
部屋が小さくても、前に立てる余白があると生活感が出ます。
逆に、棚やベッドを詰め込みすぎると縮尺が合っていても息苦しく見えます。

ドールハウスをシルバニアサイズで作る!100均材料で簡単
シルバニアは、お家があるとより一層楽しいですよね。 我が家、あかりの灯る大きなお家があるものの、小物とファミリーが増えすぎて手狭になってきました。 でも、シルバニアのお家はなかなかのお値段。 そして、
sylvaniandanran.com開口部の基準寸法と位置決め
窓や扉などの開口部は、見た目の印象を大きく左右する部分です。シルバニア向けでは、縮尺を厳密に追うよりも、人形の顔や家具との重なり方で決めるほうがまとまります。
1部屋の背景として作るなら、窓は開口およそ50×40mmを目安(筆者の推奨寸法)にすると扱いやすいサイズです。
窓の下端は床から約40〜45mmを目安に配置すると、ソファやテーブルの高さとぶつかりにくく、窓辺に立ったときのバランスが整います。
これらの数値はあくまで目安なので、まずは人形を仮置きして目線位置を確認する方法をおすすめします。
窓位置は、壁の真ん中に必ずしも置かなくてかまいません。
幅220mm前後の部屋なら、中央から少しずらして配置すると、片側に棚、もう片側にテーブルといったレイアウトが組みやすくなります。
窓の正面に大きな家具を置くと抜けが消えるので、窓の前は低い家具か、空きスペースにしておくと景色が生きます。
小さな窓から光が差し込むように見える配置だと、壁一枚でも部屋らしい奥行きが出ます。
窓位置は、壁の真ん中に必ずしも置かなくてかまいません。
幅220mm前後の部屋なら、中央から少しずらして配置すると片側に棚、もう片側にテーブルといったレイアウトが組みやすくなります。
扉は開閉する構造にしなくても成立します(背景用の疑似扉ならおおむね30×60mm程度を目安に)。
なお、ここで示す開口寸法や下端位置は筆者の推奨寸法(目安)です。
まずは人形を仮置きし、人形の目線線を引いてから窓高さや位置を決める方法をおすすめします。
W/D/H・内寸/外寸・有効寸法の用語整理
図面で混乱しやすいのが、寸法の呼び方です。ここを最初にそろえておくと、あとで床・壁・窓の数字を書き込むときに迷いません。
W/D/Hはそれぞれ、W=幅、D=奥行、H=高さです。
ドールハウスではcm表記が混ざりやすいですが、図面はmmで統一すると計算ミスが減ります。
220mmと書いておけば、板厚5mmを引く計算もそのままできます。
22cmと5mmが混ざると、頭の中で換算が増えて図面が散りやすくなります。
外寸は完成品のいちばん外側の寸法です。
たとえば「本体 W220×D140×H230mm」と書くときの数字がこれにあたります。
収納箱や設置スペースと照らし合わせる基準になるので、図面ではタイトル付近か、全体図のそばにまとめておくと見失いません。
内寸は壁の内側から内側、床から天井までの“空間そのものの寸法”です。
材料の厚みを引いたあとの数字で、部屋の素の広さを示します。
ただ、ドールハウスでは家具の出っ張りや見切り材もあるので、内寸がそのまま「使える広さ」にはなりません。
そこで使いたいのが有効寸法です。
これは、実際に人形を置ける、家具前に立てる、扉が干渉しない、といった条件まで含めた寸法です。
たとえば床の奥行が130mmあっても、壁際に棚を20mm、前にテーブルを35mm置けば、残り全部が自由空間ではありません。
図面には「内寸 D130mm」と書くだけでなく、「テーブル前空き 25mm」など、使うための余白を書き添えると実作で迷いません。
寸法の記入位置にもルールを作っておくと見返しやすくなります。
全体図の外側には外寸、部屋の内側には内寸、家具の前や窓の位置には有効寸法や基準寸法を書く、という分け方です。
寸法の記入の基本ルールで触れられているような、同じ寸法を重ねて何度も書かない考え方は、DIYの手書き図面でも役立ちます。
数字が少ないほど読み取りやすく、切る順番も自然に見えてきます。
NOTE
図面の最初に「単位:mm」と1回だけ書いておくと、W220、窓50×40、下端45といった数字を短く記せます。小さな図面ほど、このひとことが効きます。
寸法の記入の基本ルール
d-engineer.com初心者向け|シルバニアサイズの簡易設計図の描き方
準備
手書きの設計図は、最初から立派な製図にする必要はありません。
シルバニア向けの一室なら、平面図と正面図の2枚がそろえば、壁の切り出し寸法と窓位置まで十分に追えます。
奥行方向に段差をつける、屋根をつける、横壁に窓を入れるといった要素が出てきたときだけ、側面図を足す流れで構いません。
用紙はA4方眼紙が扱いやすく、道具は0.5mmのシャープペン、定規、三角定規、消しゴムがあれば進められます。
A4は210×297mmなので、部屋1室の図面なら十分に収まり、5mm方眼の目をそのまま縮尺の補助に使えます。
筆者は最初のラフを方眼紙に描き、本番の線だけを濃く拾い直す方法をよく使います。
数字と線が混線しにくく、途中で家具位置を直したくなっても全体が崩れません。
縮尺はmmで統一したうえで、A4に描くなら1/5か1/10が定番です。
たとえば1/5なら、用紙上1cmが実寸50mmにあたります。
外寸W220mmの部屋は、図の上では44mmです。
1/10だとさらに小さくまとまりますが、窓や家具基準まで書き込みたいなら1/5のほうが線に余白が残ります。
図面を1/5で描くと、子どもにもどのくらいの大きさか伝わりやすいんですよね。
数字だけより、四角の大きさとして見えるので、部屋の広さを一緒に想像できます。
平面図の描き方
平面図は、部屋を真上から見た図です。外寸、内寸、壁の厚み、窓や扉の位置を整理します。
最初に外側の四角を描き、その内側に壁厚を引いた内寸の四角を描くと、部屋の骨格がひと目でつかめます。
寸法の基準は、端から測るか、中心線から測るかを最初に決めて統一します。
たとえば窓を壁の中央に置くなら中心線基準、左寄せに置くなら左端基準という具合です。
ただ、1枚の図面の中で基準が混ざると急に読みづらくなるので、初心者なら端基準でそろえるほうが迷いが出ません。
描き順は、外周寸法を先に、そのあと部分寸法を書くのが基本です。
つまり、まず部屋全体の幅と奥行を書き、次に「左壁から窓まで」「窓幅」「窓から右壁まで」と分けていきます。
この順番にすると、切り出し寸法と開口位置の関係が自然につながります。
ここで意識したいのが、同じ寸法を何度も書かないことです。
たとえば全体幅を書いたうえで、左から右までの分割寸法も全部重ねてしまうと、修正したときに数字が食い違います。
DIY設計の基本が身に付く!手書きで図面を描いてみようでも触れられているように、基準線を一本にまとめ、そこへ必要な寸法を並べると図面が落ち着きます。
手書き図面ほど、この整理が効いてきます。
正面図の描き方
正面図は、部屋を正面から見た図です。
平面図だけでは分からない天井高、窓の高さ位置、巾木や回り縁の位置をここで決めます。
シルバニア向けの設計では、見た目の整合を取る役割が大きく、背景としての美しさもこの図で固まります。
描き始めは、床線と天井線を引き、その中に窓の開口を入れます。
窓は幅だけでなく、床からどこに下端が来るかまで書いておくと、家具とのぶつかり方が先に見えます。
前のセクションで触れた窓下端の基準を正面図に落とし込むと、窓が低すぎてソファに隠れる、逆に高すぎて人形の顔が見えない、といったズレを避けやすくなります。
この図では、家具天板高も一緒に記しておくと便利です。
筆者はテーブルや棚の上面高さを正面図に薄く入れておきます。
家具の上面高さを正面図に入れると、窓の見え方も先に確かめられます。
窓の下にテーブルを置いたとき、天板が窓枠にかかるのか、少し下で収まるのかが一目で分かるからです。
完成後に「窓辺の景色が全部ふさがった」という事態を防げます。
巾木や回り縁を付ける予定なら、その位置も線で示しておくと、壁面のバランスが整います。
飾り材は数mmの差でも印象が変わるので、立面で確認しておくと、組み立てのときに迷いません。
小さな窓から光が差し込むような背景は、こうした高さの整理で生まれます。
側面図
側面図は必須ではありませんが、奥行方向に情報があるときに役立ちます。
たとえば出窓風にしたい、背面に棚板を付けたい、床を一段上げたいといった場合、平面図と正面図だけでは高さ関係が追いきれません。
描き方は正面図とほぼ同じで、床線と天井線を引き、奥行方向の壁や窓位置を入れます。
特に、横壁に窓を付ける場合は側面図があると切り出し位置を間違えにくくなります。
窓の下端が前壁の窓とそろっているか、棚板が人形の頭上にかかりすぎていないかも、この図で確かめられます。
また、斜め屋根や天井の下がりを作る場合は、側面図がないと角度の線を現場判断で引くことになり、仕上がりがぶれます。
簡易設計図でも、奥行と高さが連動する部分だけは側面図を足しておくと、工作の途中で定規を持ったまま止まる時間が減ります。
寸法記入のルール
寸法は、数字を書くことよりどこからどこまでを示すかが大切です。
基本は、対象物から少し離れた位置に寸法線を引き、その両端を矢印で示し、対象物とは補助線でつなぎます。
線を部材の輪郭に重ねると、切る線なのか寸法線なのか判別しづらくなるため、少し外側へ逃がすと読みやすくなります。
寸法の入れ方には、累積寸法と分割寸法があります。
累積寸法は同じ基準点から順に測る方法で、位置決めの誤差が広がりにくい書き方です。
分割寸法は「ここからここまで」を細かく分けて示す方法で、部材ごとの寸法把握に向いています。
手書きの簡易図面では、開口位置は累積寸法、窓幅や扉幅は分割寸法、と分けると整理しやすくなります。
そして、同一寸法の重複記入は避けるのが原則です。
平面図に書いた全体幅を、正面図にも同じ意味で重ねて入れる必要はありません。
平面図では幅と奥行、正面図では高さと開口高、側面図では奥行と高さというふうに、図ごとの役割を分けます。
寸法の記入の基本ルールで整理されている考え方と同じで、数字が少ない図面ほどミスの原因が減ります。
TIP
図面の隅に「縮尺 1/5」「単位 mm」と1回だけ書いておくと、途中でcm表記が混ざりません。手書きの図面では、このひとことが全体の品のよさにつながります。
必要な道具と材料
必須道具リスト
まずは、素材がDAISOのカラーボードでも、シナベニヤの板材でも共通して使う道具をそろえます。
筆者はこの段階で道具を省くより、切る・測る・貼るの基本をきちんと固めたほうが、仕上がりの端正さが一段上がると感じています。
特にシルバニア向けの小さな空間は、数mmのズレが窓枠の傾きや壁の開きとしてそのまま見えてしまいます。
最低限ほしいのは、カッター(替刃付)、金属定規30cm、カッターマット、A4方眼紙、シャープペン、消しゴム、三角定規です。
図面を引いてから切る流れを崩さないための組み合わせで、A4方眼紙は公称 210×297mm なので、前のセクションで描いた簡易図面をそのまま机上で扱えます。
金属定規は木製や樹脂製より刃が当たる縁が安定し、壁材の直線が揃います。
仕上げ用としては、紙やすり #240・#400 を用意しておくと安心です。
#240で切断面の毛羽立ちや小さな段差を整え、#400で窓まわりや見切り材の表面をなめらかにすると、光が当たったときの輪郭がきれいに見えます。
板材版ではもちろん、カラーボード版でも壁紙を貼る前に角を軽く整えておくと、紙の浮きが出にくくなります。
接着には、木工用ボンドまたは紙用ボンド を使います。
木工用ボンドは紙や木にも対応するので、シナベニヤと装飾材を一つの接着剤でまとめたいときに便利です。
一般的な木工用ボンドは初期強度が出るまで 6〜12時間、強度が落ち着くまで 約24時間 が目安なので、壁を貼った直後はマスキングテープで仮固定しておくと形が崩れません。
作業中の安全面では、鉛筆キャップまたは指サックも地味ですが効きます。
小さな部材を押さえる場面で、指先を刃先から遠ざけられるからです。
筆者は、子どもと一緒に作る日は「カラーボードで当日完成」に寄せて、道具も軽いもの中心にまとめます。
一方で、撮影背景として何度も出し入れしたり、長く飾ったりする前提なら、同じ定規と図面道具を使いつつ素材だけ板材に切り替えます。
作る日の目的に合わせて道具と材料の重さを変えると、制作中の気持ちよさも完成後の満足感も揃ってきます。
TIP
カッターは新品の刃で切り始めると、カラーボードの断面がつぶれにくく、シナベニヤの薄板でも木口のささくれを抑えられます。
窓開口の四隅ほど、この差が見た目に現れます。
100均カラーボード版の材料
当日中に部屋の形まで持っていきたいなら、5mm厚のカラーボードが扱いやすい主役になります。
DAISOでは 約450×300×5mm の流通例があり、カッターで切り出せる軽さが魅力です。
1部屋分なら、5mm厚カラーボード3枚(各約300×450mm) を基本にすると、床・背面・側壁を取り、失敗分の余白も残しやすくなります。
内装材は、壁紙用紙(A4×3〜4枚)、床材用の木目シート(A4×1〜2枚) があると雰囲気をまとめやすくなります。
A4は 210×297mm なので、壁一面を一枚で覆うというより、面ごとに分けて貼る発想のほうが収まりよく仕上がります。
窓枠や見切りには、工作スティック数本 や 飾り紙 を使うと、平らな壁面に陰影が生まれます。
小さな窓から差す光を想像しながら、窓枠だけ少し色を変えると、箱の内側がぐっと部屋らしく見えてきます。
費用感は、100均素材中心の試作では事例で約800円という報告が多く見られます。
ただし用途や材料の選択で増減しますので、筆者目安では800〜1,200円程度を見込むと安心です。
DAISOのカラーボード(約110円前後)や装飾紙は試作向けに手軽で、柄の組み合わせで世界観をまとめやすい点が魅力です。
一方で、カラーボードは広い面をそのまま壁にすると、中央がわずかにたわんだり、角が欠けたりしやすい素材です。
筆者は背面や長辺の壁に使うとき、工作スティックを裏に渡して框のように入れ、面のゆがみを抑えています。
素材の軽さは大きな利点ですが、展示を続ける前提では強度差がそのまま扱いやすさの差になります。
100均素材で十分成立する一方、何度も組み替える作品や持ち運ぶ作品では、次の板材版の安心感が勝ちます。
費用感は、100均素材中心の試作では事例で約800円という報告が多く見られます。
ただし用途や材料の選択で増減しますので、筆者の目安としては約800円から(装飾や予備材料を含めると1,000〜1,200円程度になることもある)とお考えください。
DAISOのカラーボード(約110円前後)や装飾紙は試作向けに手軽で、柄の組み合わせで世界観をまとめやすい点が魅力です。
板材版の材料
長く飾る、撮影背景として繰り返し使う、家具を頻繁に入れ替える。
そんな用途では、骨格をシナベニヤで組むと空間の輪郭がぴしっと整います。
材料例としては、シナベニヤ4〜5mm厚を使い、220×140mmの床×1、220×230mmの壁×1、140×230mmの側壁×2、必要に応じて天井板を足す構成が組みやすいです。
前のセクションで触れた寸法感とつながりがよく、切り出した後の組み立ても迷いが出にくい形です。
補強には、角棒5×5mm×1本を用意しておくと、内側のコーナーが安定します。
5mm角の棒材は木材だけでなくプラ材も流通していますが、板材版では木工用ボンドでまとめやすい木製が扱いやすい印象です。
角に沿わせて入れるだけで接着面積が増え、壁同士が直角を保ちやすくなります。
見えない部分の一本ですが、ここが効いていると家具を置いたときの水平感まで整います。
表面仕上げには、アクリル塗料を少量用意すると表情づけの幅が広がります。
シナベニヤは木肌そのものが美しいので、白壁風に塗るか、木目を活かしてナチュラルに仕上げるかで作品の印象が変わります。
紙貼りに比べると作業は少し増えますが、塗膜の質感が写真に映ると、本物の室内を切り取ったような落ち着きが出ます。
購入先は、木材と角棒ならホームセンター、カット済み材料や小口材はAmazon楽天などの通販も候補になります。
シナベニヤは原板だと 900×1800mm や 1200×2400mm の流通サイズがあるため、1部屋だけ作る場合は店舗のカットサービスや小さめの端材を使うと無駄が少なくなります。
100均素材で代用できる部分は多いものの、強度とエッジのシャープさは板材のほうが一段上で、撮影用の背景として見るとその差がよく分かります。
市販ベース(amifa)の活用
ゼロから箱組みするより、まず形の整った土台から始めたいなら、市販ベースの流用も相性のよい方法です。
amifaのドールハウスベースは W215×H215mm の寸法が目安になっていて、1室の背景を作るにはちょうど扱いやすいサイズです。
セリアのドールハウスベースでシルバニア団地を作るでも、この寸法感が収納と展示の両立に向いたサイズとして見えてきます。
このベースは、単体で完結させると小部屋の背景向き、複数使うと団地風や連続した室内表現に向きます。
たとえば横に連結して二間続きのように見せたり、背面板を追加して奥行感を足したりすると、既製品の輪郭を活かしながら空間を広げられます。
シルバニア向けでは、部屋ひとつをきゅっと切り取るほうが家具も人物も映えるので、市販ベースの制約がむしろ構図を整えてくれます。
既製ベースの利点は、直角がすでに揃っていることと、収納時の扱いが読みやすいことです。
筆者は、世界観の確認用にはamifaベースを使い、窓位置や壁紙の相性を見てから本制作を板材に移すことがあります。
試作と本番の距離が近く、しかも見た目の印象をその場で確かめられるのが便利です。
100均で揃えるならSeriaやDAISOの装飾材と組み合わせやすく、もっと堅牢にしたいなら背面だけ板材に替える、といった折衷案もまとまりよく仕上がります。
1部屋タイプのドールハウスをDIYする手順
作業に入る前に、今回の1部屋タイプで使う前提をそろえておきます。
外寸はW220×D140×H230mm、板厚は5mmのカラーボードとし、内法はW210×D130×H220mmで見ていきます。
材料はDAISOの5mmカラーボード、木工用ボンド、工作スティック、木目シート、壁紙用の紙、角補強用の5×5mm角棒、仕上げ用のアクリル塗料が中心です。
道具はカッター、金属定規、カッターマット、シャープペンがあれば進められます。
DAISOのカラーボードは店頭で110円(税込)前後の流通例があり、1室なら試作にも向く素材です。
寸法の考え方は、前の設計セクションで決めた基準をそのまま形に落とすだけです。
床と天井は同寸、背面は正面から見える主壁、側面2枚で奥行きを作る構成にすると迷いが出ません。
なお、カッター作業では刃を長く出さず、作業台には必ずカッターマットを敷きます。
金属定規は刃が当たる側に“当て面”が来る向きで押さえると、線が逃げにくくなります。
ステップ1|板取り・カット(寸法確定): 床220×140mm×1、背面220×230mm×1、側面140×230mm×2、天井220×140mm×1(任意)。カッターで3〜4回に分けて直線切り。
まずは板取りです。
5mmカラーボードから、床220×140mmを1枚、背面220×230mmを1枚、側面140×230mmを2枚、天井220×140mmを1枚取ります。
天井は開放感を優先するなら省略して構いませんが、収納時の保護や箱としての完成度を上げたいなら入れておくと姿が整います。
罫書きはシャープペンで薄く入れ、カットは一気に切り抜こうとせず、3〜4回に分けて同じ線をなぞるのが基本です。
特にカラーボードは軽い反面、深追いすると縁がつぶれやすいので、最初の1回目は表面紙を切る感覚、2回目以降で芯材に届かせるつもりで進めると断面が整います。
筆者は最初にすべてのパーツ名を裏面へ小さく書き込んでおきます。
床、背面、右壁、左壁と記しておくだけで、接着の向きを取り違えません。
次は窓の位置決めです。
開口は目安として50×40mm(筆者の推奨寸法)を罫書きし、正面に作るか側壁に作るかを決めます。
まずは紙の上で人形と家具の目線を合わせ、仮置きして窓下端(床から約40〜45mmを目安)を確認してから切り抜くと失敗が少ないです。
切り抜きは、先に四隅へ小さな穴を作ってから、その穴同士を結ぶように内側へ刃を進めると角が欠けにくくなります。
窓を大きく見せたくて上へ寄せすぎると、壁上部の残りが細くなり、見た目も強度も不安定になります。
反対に下げすぎると、窓台の下に巾木や家具を置く余白が消えてしまいます。
この40〜45mmという位置は、写真を撮ったときに窓越しの景色が人形の耳や頭に重なりすぎず、部屋の中の物語がきれいに見える高さです。
次は窓の位置決めです。
開口寸法は筆者の目安として約50×40mmを罫書きすることが多いですが、寸法はあくまで目安です。
まずは紙の上で人形や家具を仮置きし、人形の目線線を引いてから窓下端(床からおおむね40〜45mmを目安)を確認すると失敗が少ないです。
切り抜く際は四隅に小さな穴を作ってから、その穴同士を結ぶように刃を進めると角が欠けにくくなります。
窓は仮置きで見え方を確かめてから切るのが安心です。
この順番は地味ですが、仕上がり差が大きく出るところです。
筆者の経験でも、先に壁紙を貼るだけで室内の清潔感が一段上がります。
組んだあとに狭い箱の中で貼ろうとすると、角に指が入り切らず、どうしても紙端が波打ちます。
隅のめくれが気になるときは、マスキングテープで仮固定したまま乾かし、のちほど静かに外すと収まりが安定します。
角で壁紙同士を重ねると厚みが出て見切りが目立つので、背面と側面はそれぞれをぴったり止まりで切り分けるほうが端正です。
つくるんですのドールハウスは自分でDIYできる?でも、ドールハウスの見栄えは構造材そのものより表面処理の丁寧さが支えることが伝わってきます。
小さな部屋ほど、紙1枚の貼り方が空気感を左右します。

ドールハウスは自分でDIYできる?基本の作り方とおすすめのキットをご紹介
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tukurundesu.comステップ4|組み立て: 床に背面を直角固定(L字をマステで仮止め→ボンド→乾燥)。続いて側面2枚→必要なら天井。内側角に角棒で補強。
組み立ては、床に背面を直角で立てるところから始めます。
まずL字になる位置を確認し、マスキングテープで仮止めして角度を保ちながら、接地面に木工用ボンドを入れます。
木工用ボンドは初期強度が出るまで6〜12時間、最大強度に近づくまで約24時間が目安なので、ここで焦って次へ進むより、角が決まるまで待つほうが全体の精度が上がります。
背面が固まったら、側面2枚を左右に接着します。
このとき、床の端に側面を“乗せる”のか、床の外側に“当てる”のかを統一すると、内法がきれいに揃います。
今回の寸法例は外寸基準なので、各板の外面をそろえる意識で組むと、見た目のラインがすっきりします。
必要なら天井を最後に載せ、箱として閉じます。
開放型で飾りたい場合は天井なしでも成立しますが、天井があると光の回り方が落ち着き、背景として撮ったときに部屋の輪郭が締まります。
内側の角には5×5mm角棒を入れて補強します。
角棒があると接着面積が増え、手で家具を出し入れしたときも壁がふらつきません。
見えない部分の補強ですが、ここが効いていると壁と床の固定が安定し、作品全体に静かな芯が通ります。
WARNING
直角が不安なときは、背面と側面を一気に組まず、背面と床を固めてから片側ずつ進めると、角のねじれを拾わずに済みます。
ステップ5|仕上げ: 巾木・回り縁は工作スティックを5〜8mm幅にカットして貼付。窓枠は窓開口より+2mmの見付で囲う。塗装はアクリル薄塗り2回。
箱が組めたら、部屋らしさを決める仕上げに入ります。
巾木と回り縁は、工作スティックを5〜8mm幅にカットして貼ると素直です。
床際に細い帯が入るだけで、壁紙と床材の境目が締まり、ミニチュアの縮尺感が整います。
上部に回り縁を入れると、天井の有無にかかわらず空間に輪郭がつきます。
窓枠は、開口寸法そのままではなく、窓開口よりプラス2mmの見付で囲うと立体感が出ます。
つまり50×40mmの窓なら、開口の外周に少しだけかぶせる細枠を作るイメージです。
これだけで、ただ穴を開けただけの壁が“窓のある部屋”へ変わります。
窓台を少し張り出させたり、枠だけ白に塗ったりすると、小さな窓から差す光がより本物らしく見えます。
塗装はアクリルを薄塗り2回が基準です。
1回で色を決めようと厚く乗せると、角のエッジがだれてしまいます。
1回目で下地を整え、2回目で色をそろえるつもりで重ねると、工作材の表面が落ち着きます。
木目シートの床に対して壁をやわらかな白や淡色に振ると、シルバニアの家具や人形の色が埋もれません。
ステップ6|収納チェック: 完成後にA4ボックスまたはW215×H215ベース互換の箱へ仮収納。干渉箇所があれば回り縁や取っ手位置を微調整。
完成したら、飾るだけで終えず収納まで見ます。
今回は外寸W220×D140×H230mmの設定なので、A4ボックスや、既出のW215×H215ベース互換を意識した収納箱に仮で収め、どこが当たるかを確認します。
ここで見るのは本体そのものより、回り縁、窓枠、取っ手状の装飾など“後から足した厚み”です。
箱の口に少し触れるだけでも、出し入れのたびに角が傷みます。
筆者はこの段階で、作品を持ち上げる指のかかり方まで見ます。
見た目優先で巾木や窓台を出しすぎると、収納時にそこだけ先にぶつかるからです。
逆に、収納に合わせて装飾の出幅を整えると、飾るときも線が洗練されます。
セリアのドールハウスベースでシルバニア団地を作るでも伝わる通り、W215×H215mm前後の規格感を意識すると、1室の展示と保管が両立しやすく、暮らしの中にしまえるミニチュアになります。
失敗しやすいポイントと寸法調整のコツ
家具の高さ補正
最初にズレが出やすいのが、家具の「縦方向」です。
シルバニアの大人人形は約80mmが目安ですが、体型がデフォルメされているので、実寸をそのまま縮めた家具だと脚まわりだけ浮いて見えます。
シルバニアスケールの難しさ()でも触れられている通り、数字どおりの縮小ではなく、見え方に合わせた補正が欠かせません。
本記事の設計例なら、テーブル天板は40〜45mm、椅子の座面は18〜22mmを基準にすると、食卓の景色がまとまります。
筆者は以前、手元にあった1/12の椅子をそのまま流用して、お父さんウサギを座らせたら足が宙ぶらりんになってしまったことがありました。
見た目にはかわいくても、床に対して体が浮いて見えると、部屋全体の縮尺感まで崩れます。
そこで座面を20mmに作り直したところ、足元の落ち着きが出て、写真にしたときの違和感もすっと消えました。
ここで頼りになるのは定規より実機です。
人形を実際に座らせて、足裏が床か足掛けに触れているかを見るだけで、机と椅子の関係が一気に整います。
座面だけ合っていても、テーブル天板が高すぎると肩が上がって見えるので、家具は単体ではなくセットで合わせる感覚が必要です。
天井高の余白
天井は高すぎても間延びし、低すぎると箱の中に押し込めた印象になります。
初回制作では壁の高さを節約したくなりますが、ここを詰めすぎると人形の耳や頭のまわりに空気がなくなり、部屋というより収納箱の断面のように見えてしまいます。
基準として置きたいのは、内法Hを人形全高+20〜40mmにする考え方です。
大人人形を立たせたとき、頭上にひと呼吸分の余白があるだけで、窓から入る光の抜け方まできれいになります。
棚上のかごや積み本、グリーンの鉢など、ディスプレイ小物を上方向に重ねる予定があるなら、そこへさらに+10mm見ておくと窮屈になりません。
天井の低さは、完成してから直すのが厄介です。
壁を継ぎ足すと継ぎ目が出やすく、内装まで貼っていると修正範囲が一気に広がります。
だからこそ、設計段階では「立つ」だけでなく、「立った状態で背景が見えるか」を意識すると収まりが安定します。
小さな窓から光が差し込む場面を作りたいなら、頭上の余白は演出そのものです。
窓高さの見直し
窓は形より位置で印象が決まります。
サイズがきれいでも、窓の下端が高すぎると人形の顔が壁に埋もれて見え、低すぎると家具の背で開口が隠れます。
とくにシルバニアは頭が大きく、耳の存在感もあるので、一般的な1/12の窓位置をそのまま借りると視線の抜けが合いません。
正面図を描くときは、人形の目線高さを赤線で一本入れておくと判断がぶれません。
その線を見ながら、窓の下端を40〜45mmあたりに置き、そこから±5mmで微調整すると、座らせた場面でも立たせた場面でも顔まわりに背景の抜けが生まれます。
窓の中心ではなく、下端を基準に見るのがコツです。
家具を置いたときの見え方まで想像しやすくなります。
筆者は窓位置を決めるとき、壁単体で眺めず、人形と椅子とテーブルを紙の上に並べて見ます。
窓から見えるはずの光が、実際には背板だけを照らしていることがあるからです。
ほんの数mm下げるだけで、顔の横に明るい余白ができて、写真の空気がぐっと柔らかくなります。
収納前提の外寸固定
完成後に困りやすいのが、飾るときではなく片付けるときです。
本体は入っても、窓台や取っ手、回り縁が引っかかって箱に収まらないことがあります。
作品としてきれいでも、収納のたびに角をぶつけるようでは外装が先に傷みます。
そこで外寸は最初に、収納箱の内寸−5〜10mmで固定しておくと設計の軸がぶれません。
先に収納サイズを決めておけば、壁を何mm厚で組むか、装飾をどこまで出せるかが自然に決まります。
セリアのドールハウスベースでシルバニア団地を作るで見えるように、収納まで含めて考えた一室は、暮らしの中で扱いやすい姿にまとまります。
見落としやすいのは、本体よりも飛び出し部分です。
取っ手や飾り棚の縁、外壁の立体装飾が箱に先に当たるなら、その部分だけ分割式にして、マグネット留めにすると収まりが整います。
飾るときには立体感を出し、しまうときには外して平らに戻せるので、見た目と保管の両立がしやすくなります。
仮組みの徹底とリカバリー
接着後に直しにくい点も、初回制作ではつまずきやすいところです。
壁の角度、天井の高さ、窓位置、家具の干渉は、どれも本接着してから気づくと手間が増えます。
木工用ボンドで固定したあとに無理に外すと、表面紙がめくれたり、ボードの角がつぶれたりして、修正がそのまま傷になります。
その失敗を避けるには、本接着の前にマスキングテープでフル仮組みしておくのがいちばん確実です。
床・背面・側面・天井まで一度すべて組み、そこへ家具と人形を入れて眺めると、図面では見えなかったズレがはっきり出ます。
内装も同じで、壁紙や床材は本貼りの前に仮当てして、色の切り替わりや窓まわりの見え方を見てから固定したほうが整います。
TIP
仮組みの段階で違和感が出たら、直す順番は「家具高→窓位置→天井高」の順にすると判断が混線しません。先に家具を決めると、目線と余白の基準が固まります。
リカバリーの場面では、全部を壊して戻すより、原因の出どころを一つずつ絞るほうがきれいに収束します。
椅子が高いのに窓まで下げると、今度は立ち姿が不自然になります。
逆に、家具高を整えたら窓位置の違和感が消えることもあります。
ドールハウスは小さい分、1か所の数mmが全体の景色を左右します。
だからこそ、接着前の仮組みは単なる確認作業ではなく、完成度を引き上げるための設計の延長線上にあります。
100均素材・市販ベース・木製ハウスのどれを選ぶ?
カラーボード/ダンボール系
まず気軽に形にしたいなら、DAISOのカラーボードのような100均素材は出発点として優秀です。
5mm厚のカラーボードはカッターで切れますし、木工用ボンドや両面テープでも組めるので、当日に一部屋を立ち上げる流れと相性が合います。
材料費も100円ショップseriaのミニチュア家具はシルバニアと合う?やドールハウスをシルバニアサイズで作る!100均材料で簡単の実践例に近い感覚でまとめやすく、100均制作なら約800円で収まる構成も現実的です。
この方式の魅力は、寸法修正の気軽さにあります。
壁を数mm詰めたい、窓をひとつ増やしたい、背景紙の色を変えたい、といった変更が出ても、素材そのものが軽いので作り直しの心理的ハードルが低いのです。
撮影背景として季節ごとに壁紙を変えたいときや、子どもと一緒に「今日のうちに一部屋完成させたい」ときは、木材よりもこちらのほうがテンポよく進みます。
一方で、長く遊ぶ前提の箱物として見ると、角のつぶれやすさ、面のたわみ、表面の傷は避けにくいところがあります。
とくに広い壁を一枚で立てると、見た目は整っていても触れた瞬間に頼りなさが出ます。
撮影用の正面背景や、イベント向けの一時的な展示には向きますが、毎日出し入れして遊ぶ“生活道具”としては補強前提で考えたほうが景色が崩れません。
筆者は、光の入り方を見たい試作や、壁紙の色合わせを見るモックアップはこの系統で作ることが多いです。
小さな窓から差す光の角度を確かめるだけなら、軽い素材のほうが向きを変えやすく、机の上での調整も軽快です。
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amifaドールハウスベース活用
日常遊びまで含めて考えると、amifaのドールハウスベースを土台にした方法は、見た目と片付けのバランスがとても取りやすい選択肢です。
セリアのドールハウスベースでシルバニア団地を作るでも使われている通り、実例として流通しているベース寸法はW215mm × H215mmで、同寸のパネルを並べていく発想と相性が合います。
この統一寸法のよさは、設計より先に“増やし方”が見える点です。
一室だけ作っても形になりますし、あとから子ども部屋、キッチン、ショップ風の部屋と横に連結していくと、街並みのような構成にも広がります。
しかも各パネルが同じサイズなので、立ててしまうときのまとまりがきれいです。
収納ケースも実例では770円、フタ込みで1,100円という感覚に収まり、暮らしの中に片付くドールハウスとして成立しやすくなります。
この方式は、奥行の考え方だけ少し工夫が要ります。
正面から見た一室としてはまとまりやすいのですが、家具を奥まで置いて遊ぶには、別途板を足して床の奥行を補うほうが景色に厚みが出ます。
壁面のかわいさはそのままに、床だけ少し伸ばすと、シルバニアの家具を置いたときに“背景パネル”ではなく“部屋”として見えてきます。
筆者自身、ふだん遊びに出すものはこのベースの連結式がいちばん収まりよく感じます。
部屋ごとに立ててしまえて、模様替えも入れ替え感覚で済むからです。
その一方で、写真で一枚を決めたい場面では、板材で光の角度や壁厚まで詰めたくなります。
毎日触る部屋はamifaベース、決めカット用の背景は木材ベースという分け方が、暮らしの中ではしっくりきました。
既製木製ハウス/IKEA系
仕上がりの端正さや構造の安定感を優先するなら、既製の木製ハウスを活用する方法が一歩抜けています。
木口の見え方、角の立ち方、塗装や壁紙の乗り方まで含めて、完成時の密度が高くなります。
家具を出し入れしてもへたりにくく、撮影背景としても長く使えます。
代表例としては『IKEA』のFLISAT ドールハウス/ウォールシェルフがあります。
IKEAの販売価格例はおおむね¥5,500前後で流通していることが確認できます。
ただ、この手の既製品はドールハウス分野で一般的な1/12寄りの設計思想に近いものが多く、シルバニアに合わせると縦方向が間延びして見えることがあります。
前述の通り、シルバニアの空間は単純な縮小よりも少し低めに整えたほうが景色がまとまりやすいため、既製木製ハウスでは外寸より内法寸法の見え方がずっと大切です。
壁の厚みや棚板位置まで含めた“中の有効空間”で見ると、置ける家具と見える背景が変わります。
木製ハウスは、ゼロから箱を組む手間を省きつつ、内装の作り込みに集中できるのも利点です。
壁紙、床材、腰壁、窓装飾を重ねていくと、同じ部屋でも空気がぐっと深くなります。
撮影用の“決め部屋”を一つ持ちたいなら、この方式は満足度が高くなりやすいです。
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FLISAT フリサット ドールハウス/ウォールシェルフ
FLISAT フリサット ドールハウス/ウォールシェルフ. 子どもたちはたいてい自慢のアイテムを持っていて、みんなに見てもらいたいと思っています。お子さまがお人形遊びを卒業したら、このドールハウスは、思い出の品をディスプレイするウォールシェ
ikea.com方式別の比較表
選び分けをひと目でつかむなら、素材の性格を5項目で並べると見通しが立ちます。コストは初期費用だけでなく、増設や収納まで含めた景色で考えると差がはっきりします。
| 方式 | サイズ自由度 | 強度 | 加工性 | コスト | 収納性 |
|---|---|---|---|---|---|
| 方式 | サイズ自由度 | 強度 | 加工性 | コスト | 収納性 |
| --- | --- | --- | --- | --- | --- |
| カラーボード/ダンボール系 | 高い。壁位置や窓サイズをその場で変えやすい | 低め。角つぶれやたわみが出やすい | 高い。カッター主体で進めやすい | 事例ベースでは約800円前後(実例) | 高い。本体が軽く、分解や作り直しも前提にしやすい |
| amifaドールハウスベース活用 | 中程度。ベース寸法に沿って組むぶん発想がまとまりやすい | 中程度。単体で整い、連結でも扱いやすい | 高い。既存形状を活かせるので装飾に時間を回せる | ベース活用に加え、収納ケースは実例で770円、フタ込み1,100円程度の事例あり | 高い。統一寸法で重ね方と片付け方が決めやすい |
| 既製木製ハウス/IKEA系 | 低め。本体寸法に沿って内装を合わせる形になる | 高い。日常使用でも形が崩れにくい | 中程度。箱組みは不要だが木部加工は手間が増える | 事例例:IKEAの製品は概ね数千円台(例:¥5,500) | 中程度。完成度は高い一方で本体の存在感も出る |
同じ「ドールハウスを作る」でも、欲しいのが当日完成の楽しさなのか、片付く日常空間なのか、長く使える撮影セットなのかで、選ぶ土台は変わります。
軽やかに始めるならカラーボード、暮らしの中で増やしていくならamifa、一室を作品として育てるなら木製ハウスという並びで見ると、方向性の違いがつかみやすくなります。
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まとめ|まずは1部屋から設計してみましょう
この記事中の価格や寸法の多くは、購入例や筆者の実作を参考にした「事例/目安」として示しています。
用途や素材で変動する点を踏まえ、設計時には必ず実寸での確認と仮組みを行ってください。
1部屋を完走できたら、次は和室化に広げていけます。
畳風シートや鴨居風モールディングを取り入れるのが一例です。
あるいはショップ風にして腰壁やサインを付けたり、撮影背景用に奥行を浅めにしたり可動壁を設けたりするのもよいでしょう。
まずは入るサイズで1部屋を完成させて、少しずつ増築していく流れが、いちばん長く楽しめます。
インテリアコーディネーター資格を持つミニチュア作家。ドールハウス制作歴10年以上、Creemaでの販売歴5年。風呂敷のラッピングアドバイザー資格も保有。